ホテルの悪いレビューへの対応方法(例付き)

ホテルの悪いレビューへの対応方法(例付き)

オンライン上のレビューはホテルの評判を大きく左右します。たった一件の悪いレビューが、旅行者に別の宿泊先を選ばせてしまうこともあります。人々がホテルを選ぶ際には、TripAdvisor、Google、Booking.comといったサイトを参考にするため、ひとつひとつのレビューが重要なのです。

悪いレビューに対して適切に対応することは、単なるダメージコントロールではありません。それは、あなたが“気にかけている”ことを示し、信頼を得るチャンスでもあります。正しい返信をすることは、ゲストに耳を傾け、改善したいという意思を示すものです。中には、ホテルを貶めるための偽レビューを投稿するケースもあり、また無料宿泊と引き換えに悪いレビューを削除するよう要求するという誤った対応をするホテルもあります。しかし、誠実で心のこもった返信こそが、ゲストとのつながりを生むものです。

このガイドでは、なぜ返信が重要か、良い返信を書く方法、そして実際の例を紹介します。

悪いホテルレビューに返信することがなぜ重要か

悪いレビューは痛手ですが、ホテル経営には避けて通れないものです。ここでどう返信するか次第で、状況を逆転させることもできます。以下が、その理由です。

1. 「気にかけている」ことを示せる

ゲストは、あなたが自分の意見に耳を傾けてくれているかを知りたいものです。丁寧でプロフェッショナルな返信は、責任を持って対応しているというメッセージとなり、印象を変えられる可能性があります。

2. 再来訪につなげる

適切な対応をすれば、不満を持ったゲストにも再度チャンスを与えてもらえることがあります。問題を解決し、「もう一度泊まりたい」と思ってもらうことは、ホテルにとって大きな価値です。

3. オンラインでの可視性に影響する

Google や TripAdvisor といったプラットフォームは、レビューへの返信状況を評価の一因として見ることがあります。レスポンスが早いと、検索順位で有利に働く場合もあります。

4. クレームを改善の機会に変える

各クレームは、改善すべき課題を提示してくれるものです。誠意ある返信は、該当ゲストへの対応だけでなく、将来のゲストへ「私たちは聞き、改良するホテルです」というメッセージにもなります。

悪いレビューに対する典型的な種類

どのような不満が多く寄せられるかを知っておくと、対応準備がしやすくなります。

  • 清掃・衛生の問題:部屋の汚れ、シーツやタオルが洗われていない、においが不快など
  • サービスの不満:スタッフ対応、手助け不足、無礼な態度など
  • 予約・チェックインのトラブル:予約との不整合、チェックインの遅延など
  • 騒音や施設関連のクレーム:廊下の騒音、空調故障、古さによる設備不具合など
  • 請求・料金の争い:追加料金、説明不足な料金、誤請求など

悪いレビューに返信する際の基本原則

返信文を構成する際には、以下の原則を意識してください:

  • 冷静かつプロフェッショナルに:感情的または防御的な言葉は避ける
  • 迅速に返信:24~48時間以内が理想。迅速さがあなたの誠意を示す
  • 個別化:ゲスト名を使い、滞在の詳細に言及する
  • 問題を認める:相手の不満を理解していることを示す
  • 誠実な謝罪と責任表明:全面的でなくとも、共感の意を示すことが重要
  • 改善策や対応案を提示:今後同じことが起きないように対処した旨を示す
  • さらに話を聞く余地を残す:オフラインでのやり取りを提案し、対話を続ける余地を作る

返信文作成のステップ

  1. 感謝を伝える:フィードバックをもらったことへの感謝
  2. 問題を認める:指摘された具体的な事項に触れる
  3. 誠意ある謝罪:定型文にならないよう、心を込めて
  4. 必要に応じて補足説明:ただし言い訳に聞こえないよう注意
  5. 解決策を提示:返金、割引、今後の改善策など
  6. 再訪を促す:より良い体験を提供する意志を伝える

悪いホテルレビューへの返信例

以下は、ホテルが参考にできる実例です。適宜、自社の事情に合わせてアレンジしてください。

例 1:清掃・衛生に関するクレーム

ゲストレビュー:
「部屋が汚れていて、バスルームに髪が落ちていた。料金に見合う期待をしていたが失望した。」

模範返信:

○○ 様
このたびは、○月○日にご滞在いただいた際にご不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございません。清掃は私たちの最優先事項の一つであり、今回それに至らなかったことを大変残念に思っております。
当該のお部屋を担当した清掃チームと話し合い、今後同様のことが起こらぬよう、清掃チェックリストを強化・見直しを実施いたしました。
もしまた ○○ にお越しの際は、私あてに直接ご連絡いただければ、上級スイートへの無料アップグレードをご用意させていただきます。

例 2:サービス対応の不満

ゲストレビュー:
「フロントのスタッフが、助けを求めたとき無礼で無関心だった。」

模範返信:

○○ 様
このたびは、フロントデスクでの対応に対して率直なご意見をいただき、ありがとうございました。ご不快な思いをされたことに深くお詫び申し上げます。本来、当ホテルが目指すおもてなしとは真逆の対応であり、今回のご指摘を重く受け止めております。
ご意見は担当チームへ共有し、全スタッフを対象としたホスピタリティ研修を改めて実施することといたしました。
またご来館の機会がございましたら、どうかご一報ください。ウェルカムギフトとレイトチェックアウトを個別にご準備させていただきたいと存じます。

例 3:騒音に関するクレーム

ゲストレビュー:
「夜間に非常にうるさく、眠れなかった。」

模範返信:

○○ 様
騒音についてご指摘いただき、誠に申し訳ございません。滞在中、ご不便な思いをされたことを心よりお詫び申し上げます。
お寄せいただいたフィードバックを元に、該当階の点検を行ったところ、廊下のドアに不具合があり、通行音を助長していたことが判明いたしました。現在は修繕を完了しております。
次回以降のご滞在では、ストリート側やエレベーターから離れた静音エリアの上層階をおすすめいたします。ご滞在前にご連絡をいただければ、できる限り静かなお部屋をご用意いたします。

例 4:請求に関する不満

ゲストレビュー:
「使っていないものの料金を請求された。非常に失望した。」

模範返信:

○○ 様
このたびは、ご利用いただいていないサービスに対する請求があったとのことで、ご迷惑とご不快の念をおかけし、誠に申し訳ございません。
帳簿を確認いたしましたところ、該当する誤請求を取り消し、金額 [$XX] を返金させていただきました。返金は3〜5営業日以内に口座に反映される見込みです。
また、今後チェックアウト前に請求内容を再確認する内部プロセスを強化いたします。ご指摘をいただき、誠にありがとうございました。
次回ご利用の際には、無料の朝食をご提供させていただければ幸いです。ぜひまたお越しください。

例 5:チェックイン時間が長かったケース

ゲストレビュー:
「チェックインに非常に時間がかかった。30分も並んだ。」

模範返信:

○○ 様
このたびは、チェックイン手続きにお時間を要してしまい、ご不便をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。その日は大人数の団体様の到着が重なり、通常よりも混雑してしまいました。
その後、モバイル事前登録の導入、セルフチェックイン端末の設置、ピーク時にスタッフを追加配置するなどの対応を実施いたしました。
次回ご滞在の際には、当ホテルの「エクスプレスチェックイン」オプションをご利用いただければ、到着時にお部屋をすぐにご案内できるようにいたします。
お待たせしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。再度のご来館を心よりお待ちしております。

例 6:漠然とした不満

ゲストレビュー:
「滞在があまり楽しめなかった。」

模範返信:

○○ 様
このたびは、ご滞在にご満足いただけなかったとのご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。期待に応えられず、大変申し訳ございません。
もし差し支えなければ、どの点がご期待に沿わなかったかを私どもにお教えいただけますでしょうか。改善に向けて真摯に取り組みたいと考えております。
よろしければ、以下のメールアドレスまでご連絡くださいませ。次回は、ご期待に沿える滞在をぜひご提供させていただきたいと存じます。

やってはいけない返信例

  • レビューを無視する
  • ゲストと公の場で言い争う
  • 全レビューに対して自動返信を使いまわす
  • ゲストを責めたり、言い訳をする

将来的に悪いレビューを防ぐ方法

  • スタッフに対して定期的なコミュニケーション・問題解決の教育を行う
  • 自社ウェブサイトや予約プラットフォームで宿泊条件を明確に示す
  • 滞在中にゲストへフォローアップを行い、早期に問題を察知する
  • 満足されたゲストに前向きなレビューを依頼し、レビューのバランスをとる

まとめに代えて

悪いホテルレビューは避けられないものですが、その返信内容が長期的な影響を左右します。思慮深くプロフェッショナルな返信は、否定的な体験を改善の機会に変え、ゲストのロイヤルティを生むことができます。良いレビューも悪いレビューも、どちらもあなたの「品質と顧客満足へのこだわり」を示すチャンスです。