1. 一貫した基準で記録した退室時点を開始とし、確認済みの客室準備完了ステータスがフロントデスクに表示された時点を終了とします。
2. 清掃の所要時間と、担当割り当て、点検、修繕、ステータス更新を待つ時間を分けます。
3. 条件が近い客室同士を比較し、未完了や手直しが発生した客室も記録に残して、準備完了前の利用許可が数値上有利にならないようにします。
「あの客室は50分かかった」という報告だけでは、管理者が状況を把握するのは困難です。清掃に30分、点検待ちに20分かかったのかもしれません。あるいは、フロントデスクによるチェックアウトの記録が遅れ、清掃担当者が作業を始められなかった可能性もあります。
ホテルのハウスキーピングチェックリストに、工程ごとの時刻をいくつか追加しましょう。「客室の準備が遅い」という漠然とした不満を、チェックアウトから準備完了までのどの工程に時間がかかったのかを示す、実務に役立つ情報に変えられます。
計測の開始時点と客室準備完了の終了時点を定義する
この業務フローにおけるチェックアウトから客室準備完了までの所要時間とは、退室が記録されて客室の整備を開始できる状態になってから、確認済みの準備完了ステータスがフロントデスクに表示されるまでの経過時間です。実際の発生時刻を確実に把握できる場合はその時刻を使用し、後からデータを入力した時刻とは区別します。
ゲストがまだ客室を使用している場合は、規定のチェックアウト時刻を計測の開始時点にしないでください。ゲストが11:02に退室し、チェックアウトの入力が11:20になった場合は、裏付けがある限り両方の時刻を残します。裏付けがない場合は、清掃チームが11:02に作業を開始できる状態になったとみなさず、入力が遅れた記録として明示します。
「準備完了」の定義をチームで共有しましょう。ホテルが定める清掃と点検を終え、在室状況や修繕に関する未解決の利用制限がなく、到着予定のゲストに割り当てられる状態を意味する必要があります。清掃担当者からの完了連絡だけでは、この条件を満たさない場合があります。
ステータスの名称や点検要件は、施設やホテル管理システムによって異なります。まず記録対象となる工程を合意し、それを取得可能な記録に対応付けます。追加の必須画面を独自に設けたり、すべてのシステムが各工程の節目を記録していると決めつけたりしないでください。
清掃の開始から終了までは30分でも、準備完了までは52分
チェックアウト後の客室について、次の時刻が記録されている架空の例を考えてみましょう。
- 11:02:ゲストが退室し、客室の整備を開始できる状態になる。
- 11:12:清掃を開始する。
- 11:42:清掃完了を記録する。
- 11:50:所定の点検に合格する。
- 11:54:確認済みの客室準備完了の更新がフロントデスクに表示される。
全工程の所要時間は52分です。内訳は、清掃開始まで10分、清掃開始から完了まで30分、点検承認まで8分、利用可能になったことが画面に反映されるまで4分です。合計は52分ですが、そのすべてが清掃作業の時間ではありません。
この30分の間に修繕や備品補充による中断があった場合は、可能な限り別途記録します。清掃開始から終了までの経過時間が、そのまま中断のない30分間の作業を意味するわけではありません。
客室の利用が承認されていても、フロントデスクが電話連絡を待っているなら、その引き継ぎは清潔さの向上につながらない待ち時間を生んでいます。Smart Orderのホテル管理アプリでは、権限を持つ客室フロアのスタッフが客室情報を更新し、フロントデスクが共有された記録を確認できます。この業務フローを活用すれば、ステータス入力の遅れを減らせます。ただし、準備完了までの所要時間が自動でレポートされると判断する前に、どの時刻を取得できるか確認してください。
客室準備完了の更新をフロントデスクへ確実に届ける
客室フロアからのステータス更新とフロントデスクの表示を連携させ、引き継ぎの遅れで準備済みの客室が把握できない状態を防ぎましょう。
ホテルのハウスキーピングチェックリストに工程の時刻記録を追加する
現在の清掃・点検基準は維持します。そのうえで、日付だけでなく、実際の客室と個々のチェックアウト後の準備作業にひも付く簡単な時刻記録を追加します。
施設、客室番号と客室タイプ、退室、清掃開始、清掃完了、必要な場合の点検結果、最終的な利用許可を記録します。担当従業員またはチーム、遅延理由も含めます。時刻記録には、不要なゲストの個人情報を含めないようにします。
システムが確実に記録している工程については、その履歴を使用します。記録されない工程には、責任者を明確にしたうえで、施設が承認した簡単な管理表やタスクメモを使います。現在表示されている緑色の客室アイコンから、昨日の清掃開始時刻を復元することはできません。また、従業員が後から推定した時刻を、システムに記録された時刻として扱わないでください。
無理なく管理できる数のチェックアウト後の客室を対象に、次の記録手順を実施します。
- ゲストが退室し、客室の整備を開始できることを確認します。入力の遅れや空室かどうかの認識の食い違いは明示し、在室中の客室にスタッフを向かわせないようにします。
- タスクを割り当てた時刻や印刷した時刻ではなく、実際に作業を開始した時刻を記録します。
- 清掃チェックリストの項目を実施し、完了時刻を記録します。作業の中断や、追加対応が必要な不具合も記録します。
- ホテルの通常の基準に従って、点検と手直しを記録します。点検に不合格となった場合は、未完了の作業を確認できる状態にしておきます。
- 準備完了を確認してから利用を承認し、正しい客室ステータスがフロントデスクに表示されていることを確認します。最終的に利用可能となった時刻を残します。
12:10に準備完了とされた客室が、12:15に点検不合格で再び利用不可になった場合、問題なく完了したとはいえません。最初の誤った利用許可と、最終的に有効となった利用許可の両方を残します。最初に緑色のステータスになった時点だけを測ると、チェックリストが防ぐべきミスを数値上評価してしまいます。
人員配置の目標を変える前に、遅延の原因を把握する
清掃開始前に客室が待機している場合
レイトチェックアウト、退室記録の遅れ、担当割り当ての不明確さ、備品の準備、フロア間の移動を確認します。この待ち時間が長いことは、清掃担当者の作業が遅い証拠にはなりません。在室中の客室と、整備を開始できる状態で順番を待っている客室を区別します。
特定の客室で清掃に時間がかかる場合
客室タイプと作業範囲が同等の条件で比較します。簡易キッチンやエキストラベッドのあるスイート、通常より多くの作業が必要なチェックアウト後の客室を、事情を考慮せずに一般的な短期滞在後のダブルルームと比較してはいけません。
連泊中の清掃と、チェックアウト後の客室準備は分けて扱います。作業の中断、機器の不具合、追加作業を一つの平均値に埋もれさせず、それぞれ記録します。この情報は作業や備品の準備計画に活用し、スタッフにチェックリストの項目を省略させるような運用は避けます。
清掃済みの客室が点検や利用許可を待っている場合
責任者の対応体制、再点検、最後のステータス共有を確認します。主な遅延が清掃後に発生しているなら、清掃時間の目標を短くしても解決しません。客室フロアのチームと一緒にフロントデスクの客室管理ボードを確認し、現場では利用が承認されているのに、画面上ではまだ準備完了になっていない客室を特定します。
修繕のため客室を利用可能に戻せない場合
不具合が解消されるまで、客室を利用不可のままにします。その準備作業を修繕待ちとして分類し、経過時間または未完了のステータスを残します。数値を良く見せるためだけに、時間のかかった客室をすべて検証対象から外してはいけません。
通常の客室準備の実績と、修繕による例外は分けて報告し、除外した件数と理由も確認できるようにします。利用不可の状態が数日にわたる場合は、時刻だけを差し引かず、日付と時刻の両方を使います。
最速の1室ではなく、判断に役立つサンプルを検証する
まず対象期間を統一し、チェックアウト後の準備作業の対象範囲を明確に定めます。準備完了、未完了、時刻記録の欠落、手直しが必要な客室をそれぞれ数えます。最も時間のかかる客室が未完了のままでも、完了した客室だけの平均値は短く見えることがあります。
客室タイプ、勤務シフト、到着予定への対応の切迫度ごとに、標準的な準備完了時間と時間がかかったケースを比較します。中央値は、1件の長時間の修繕に大きく左右されずに、中央に位置する結果を示すのに役立ちます。ただし、その修繕を無視してよいわけではありません。少数のサンプルから結論を出す前に、データの品質を確認してください。
取得可能な予約情報や客室の状況は、ホテルのレポートと業務データのエクスポートを活用して把握し、必要に応じて施設が承認した時刻記録で補います。清掃工程の指標は、開始と終了の両方の時刻が確実に記録されている場合にのみ算出します。
改善目標は、自施設の記録とサービス基準に基づいて設定します。この例では、清掃時間を5分短縮するよう求めるよりも、点検待ちを減らすほうが有効かもしれません。品質と安全な利用許可は、時間短縮のために省いてよいものではなく、必ず満たすべき条件としてください。